第二回大会の覇者レッドアローズが満を辞して臨んだ昨年の第三回大会。レッドアローズに覇者としての油断や奢りはあったのか?無論なかったかもしれないが、新規参入のウラーズの前にいとも脆くも敗れ連覇の道は一回戦で早くも閉ざされた。
そのレッドアローズは目の色を変えて「打倒ウラーズ」を目標に、覇者奪還を目指した一年であったと思う。ユニフォームを新調し、ただただサンドロット杯2度目の優勝を、そして昨年のリベンジを果たすべく頑張って来たと思う。
組み合わせ抽選の際、大会委員長の私の手が成したウラーズとレッドアローズが違うブロックで予選を戦うことになったのがわかった瞬間、ソフトボールの神様はきっと最高のステージをサンドロット杯に授けたんだと確信した。
と、書くと「おいおい他のチームは?」となるかもしれない。が、この2チームだけは本当に申し訳無いけど別格。何か胸騒ぎがした。この2チームを予選でどこが倒すのか?それともこの2チームが予選グループ各チームを倒して行くのか?
レッドアローズは勝ち上がらないとウラーズにリベンジが出来ない。またウラーズも大会初の連覇の偉業は勝ち上がらないことには成し得ない。この2チームの戦い方、モチベーションは素晴らしく高かった。ボールデッドになる瞬間まで隙を与えない、あるいは隙を狙う、漠然と投げたり打ったり捕ったりするのも楽しいけど、競技としての本当の面白さはこの「隙を与えない、あるいは隙を狙う姿勢」にあると思う。
そして始まった決勝戦、息詰まる攻防にギャラリー達も興奮。1点取れば1点返す、ウラーズが3点取った時には「このままウラーズペースなのか?」と思ったが、すかさずレッドアローズも3点を返す。
6回ウラーズのチャンスもあわやセンター前に抜ける打球を好捕!5対5の同点のまま7回へ...
こんな壮絶な試合があったのだろうか?もちろん技量はこの2チ−ムがトップクラス。日没迫るグランドで延長突入か?それとも決着が付かないまま日没サスペンデッドか?と思われた最終回、レッドアローズは力投を続けるエース木島を援護すべく気力を振り絞って最後の猛攻を見せる。
得点圏にランナーを進め打席に立つ代表串戸の放った打球はセカンドの後方に落ちるヒット。もうここまで来ると技量の問題じゃない、昨年の一回戦敗退で味わった悔しさが乗り移った気迫の一打。昨年一回戦敗退は代表がチームの中で一番悔しかっただろう。それだけにこの意地の一打は私の胸を確実にジャストミートした。
勝負事は万策尽きても最後の最後は気合いが必要なんだと思わせる感動的な一打だった。
そしてその裏、ウラーズは1塁にランナーを置き反撃をするが、2点の援護を貰った木島の壁は高く、ゲームセット。
どちらが勝ってもおかしくない試合だった。勝ったレッドアローズも、敗れたウラーズも最高だった。本当に感動をありがとう。オリンピック決勝戦の様な興奮をそのまま秋ヶ瀬公園に持ち込んだ様な素晴らしい試合だった。
ソフトボールの神様はこの日秋ヶ瀬公園にやって来たんだと思いたい。
そんな決勝戦、そんな大会だった。
来年はどんなドラマになるのかわからないが、ぜひ他のチームは打倒レッドアローズ、打倒ウラーズ目指して頑張ってみるのも面白いと思う。1年に1回ぐらいはそんなソフトを目指してやってみるのもまた面白いかもしれない。
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